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(公財)石川県産業創出支援機構 経営支援部 新事業支援課

Nana flower:鮫島 亜紀さん

  • センパイ起業家
  • 石川
色から作り上げる布花の深い魅力を
石川の伝統工芸とともに発信したい

布花のアトリエ Nana flower

鮫島 亜紀さん

小松市出身。2006年、布花講師の資格を生かし、自宅で布花教室を開講。2012年には北陸三県唯一の布花専門のショップをオープン。髪飾りやギフトなどオリジナル商品の販売や、ブライダルブーケや成人式髪飾りなどのオーダーを手掛ける。教室受講者に向けてNana flower布花協会を立ち上げ、資格取得制度も確立。年数回、個展やグループ展を開催するなど創作活動も盛んに行っている。

起業のきっかけ

小学生の頃から生け花を習い、21歳で師範の資格を取得しました。23歳の時、ふと目に留まったのが街のショーウィンドウに飾られた布花。生花とはまた違った、優しい落ち着いた風合いや深いアート性に思わず引き込まれてしまったんです。それからすぐに地元の布花の先生について習い始め、結婚後も趣味として続けていました。創作を始めて10年後に布花講師の資格も取得し、長女が小学3年になり少し時間に余裕ができたので、「自分の好きなことを生かして仕事をしたい」と思うように。子どもの帰宅時間には家で迎えたかったので、自宅の6畳の和室で布花教室を開講することにしました。

でも、当時は女性の起業はまだ珍しく、どうやって運営していけばいいのか不安だらけ。ちょうどその頃に始まったのが、小松市主催の「こまつ女性起業チャレンジ塾」でした。女性の起業を支援するセミナーを受ける中で、心に残ったのが「オンリーワンを持つことが大事」との言葉。白い生地を染めることから始めるオリジナリティの高い布花は、一般にはまだほとんど知られていなかったんです。「これはやっていけそう!」と勇気づけられましたね。セミナーを通して、起業を目指す女性たちにも出会え、励まし合いながら前向きにもなれました。

教室を始めた2006年にはまだSNSは浸透しておらず、地元のフリーペーパーに広告を出しました。ママ友や近所の婦人会に声をかけて出張講師をしたり、近所の手芸店で教室をしたりしたのも、集客や認知に役立ちましたね。働いている方も主婦の方も気軽に教室に来られるように、午前・午後・夜で3つの時間帯を設定し、1レッスン2時間の完全予約制に。生徒が集まるようになるにつれ、布花のアレンジギフトやアクセサリーのオーダーも入るようになっていきました。3年後ぐらいから商談も多くなり、「布花をきれいに展示したり、販売もできるスペースがほしい」という願望が出てきました。

自社の強み

夢が実現したのは2012年7月。新築した住宅の1角に併設する形で、店舗をオープンすることができました。夫の理解で開業資金の負担も抑えられたので、ありがたかったですね。布花の専門ショップは北陸3県では唯一。「エリアでオンリーワン」を打ち出すことができ、さらにワンステップを上るきっかけになりました。

現在は、教室とオリジナル商品の販売、ブライダル用などオーダー品の制作の3つが主な柱になっています。布花の魅力をさらに多くの方に知っていただくために、年に数回、ギャラリーや美術館での展示も開催。ウエディングやクリスマスなど毎回テーマを設けて、私独自の世界観を発表しています。気に入った方は作品を購入したり、教室に来てくださったり。自分の表現力のレベルアップや反響を知るための大切な場になっています。


ブライダルをテーマにアンティーク家具&雑貨とコラボした展示。金沢21世紀美術館にて

布花は、布を染色してからボンドを使って創作するため、工作感覚の面白さがあります。また花の種類で作り方が違うので、生徒さんたちは飽きず長く続けることができます。ただ、以前は資格認定の基準があいまいで、習い続ける中で目標を設定しにくいという面がありました。そこで、私は「Nana flower布花協会」を立ち上げ、初級・中級・上級・講師などの明確な資格基準を定めました。これによって、生徒さんも「何年後には講師になろう」と目安がわかって、より意欲的にレッスンに励んでくださるようになりましたね。

今後の展開

生まれ育った石川には、素晴らしい伝統工芸が受け継がれており、そうした工芸品とコラボして発信したいという思いがあります。これまでにも、金沢の金箔メーカーと共同制作し、布花に金沢箔を貼った「箔フラワー」を商品化して販売しています。金沢箔をあしらったアクセサリーは数多いですが、花びらの両面に金沢箔を使った商品は珍しく、金沢らしい工芸品として土産物などに好評です。

2019年からは、地元小松の伝統工芸である九谷焼とのコラボも始めました。実家が古美術商だったので、九谷焼には特別な愛着や思い入れがあり、以前からぜひやってみたかったことのひとつです。地元の九谷焼作家さんと出会い、硬質で艶やかな九谷焼と温かみある手触りの布、この2つの異なる個性を融合した新感覚のアクセサリーが完成。2019年の小松ブランドに認定され、石川県デザイン展工芸デザイン部門にも入選し、手ごたえを感じています。今後は小松や金沢などの主要観光スポット、さらには全国へ積極的に販売展開していく予定です。


伝統工芸の九谷焼と布花の異素材がコラボしたカスミソウのイヤリング

これからの究極の目標は、世界進出です。地域貢献の意味合いも兼ねて、石川県の優れた伝統工芸を世界に発信したいです。今考えているのは、加賀友禅とのコラボ商品。パリコレなどの世界的なファッションショーで、友禅生地を使った布花の髪飾りを使ってほしい。古布を使えばリユースにもなるし、SDGsに合致したアクセサリーとしてもアプローチできるかもしれません。できるだけ多くの人に宣言して、有言実行したいと考えています。

起業する女性へのメッセージ

女性の場合、結婚や出産などで環境の変化があったり、家事や子育てで自分の時間が持ちにくかったりと、起業を考えていてもなかなか実行しづらいかもしれません。そんな時は、今できる範囲でやってみる。それもできない場合は準備だけでもしておくことをおすすめします。子育てで忙しい時期はいつのまにか終わり、時間に余裕ができる時がやってきます。その時に羽ばたけるよう、技術を習得する、資格を取る、資金を貯めるなどの準備をしておくとよいのでは。そうすれば、子どもが巣立った後、ぽっかり空いた時間も充実したものにできると思います。

専業主婦だった私も、最初の一歩を踏み出すには戸惑いがありました。でも、勇気を出して一歩踏み出してみると、助けてくれる人たちがたくさんいました。そのきっかけを作ってくれたのが「こまつ女性起業チャレンジ塾」でしたね。ここで相談機関として商工会議所やISICOを教えていただいたことが、後々本当に役立ちました。これまでにも、補助金申請や協会の立ち上げ方、商標登録など、自分だけでは到底知りえない情報や方法を丁寧にアドバイスしていただきました。今では常連のように困ったことがあればなんでも気軽に相談しています(笑)。いくらネットが発達しているといえ、個人で集められる情報量には限界があります。私はこうした身近な「事業主の味方」を頼れば、1人ではなかなか難しいこともクリアしていけると思います。

鮫島さんのある1日の過ごし方

8:00
起床 身支度 家事
9:00
朝食
10:00
開店 接客 教室
17:00
夕食 家事 メール確認 インスタ投稿
19:00
教室
21:00
教室終了 後片づけ
22:00
商品・作品づくり ブログ・ホームページ投稿
24:00
就寝