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(公財)石川県産業創出支援機構 経営支援部 新事業支援課

TMKキッチンサロン:河除 真琴さん

  • センパイ起業家
  • 石川
料理とキャンドルのクリエイターとして
人の心を豊かにする提案をし続ける

TMKキッチンサロン

河除 真琴さん

金沢市出身。24歳で結婚。25歳から市内のケーキ店の製造部門に勤務しながら、製菓衛生師と調理師の資格を取得する。2013年に自宅で料理教室をスタート。同年にキャンドルインストラクターの資格を取得し、キャンドル教室を開講。現在は、キャンドル &クッキングのクリエイターとして、企業のフードコーディネート、ケータリング、テレビや雑誌のレシピ考案など幅広く活躍する。2019年4月から「1の1NONOICHI」シェアキッチンの火曜日を担当している。

起業のきっかけ

結婚、出産を経てそれまで勤めていた会社を退社しましたが、やはり働きたくなって、産後まもなく仕事を探しました。前職は顧客管理部でクレーム対応などを担当することが多かったので、できればお客様に「ありがとう」と感謝される仕事がしたかった。そんな中、見つけたのがケーキ屋さんの製造部門の求人。製造の経験は全くありませんでしたが、ケーキ作りができたら素敵だなと、思い切って飛び込みました。

続ける中で「お客様によりよいものを提供したい」と、製菓衛生師と調理師の資格も取得。店舗の製造責任者を任され、カフェの調理や接客も行いながら、お客様から「ありがとう」の声がいただける日々に充実感を感じていましたね。やっているうちに少しずつ仕事に自信が持てるようになり、オリジナル商品も提案するように。「いつかは自分のお店が持てたらいいな」。そんな夢がぼんやりと浮かんでいましたが、主婦の身には贅沢なことだと思っていました。

私には昔から12年周期で自分を見つめ直す習慣があり、12歳の卒業文集に書いた言葉が「お店を持ちたい」でした。24歳では結婚。36歳を迎える年になって、それまで封じこめてきた気持ちが爆発して「何かを始めなきゃ!」という気持ちが湧き出てきたんです。でも、ケーキ屋を開業するには大金が必要ですし、リスクが大き過ぎます。家庭とも両立しながらやれることはないかと思いついたのが、料理教室でした。ちょうど自宅を新築するタイミングでもあり、2013年4月に自宅での料理教室をスタートさせました。

自分の強み

教室は、お子さん連れで通えるキッズクッキングのスタイルに設定。集客はフリーペーパーの広告やフェイスブック発信で行いました。知人や友人がたくさん来てくれましたが、「軌道に乗るまでは」と他の収入源としてクリエイターの仕事も続けていました。初年度に文化センターの料理教室の講師も決まり、周囲からは順風満帆に見られていましたね。でも、心の中はモヤモヤとしていたんです。その他の講師の方々はホテルの総料理長やレストランのオーナーシェフなど錚々たるメンバー。「お客様に自分を選んでもらうには、何か突き抜けるものがないと」と、真剣に悩みましたね。また、教室の急なキャンセルや出店の際に出るフードロスも課題でした。

「いったい自分ならではのカテゴリーって何だろう」と考えた時、浮かんだのは「可愛い」「ママの手作り」。料理のスペシャリストが居並ぶ中で、私らしさを打ち出す料理以外のブランディングが絶対に必要と、あれこれと探し行き着いたのがキャンドルでした。花や精油などを材料に作るキャンドルなら、料理やお菓子と同じ感性で作れる上に、フードロスの問題も軽減できると思ったんです。早速、兵庫県・芦屋の講師のもとに通ってインストラクターの資格を取得。2014年1月にはキャンドル教室を開講しました。打ち出したのは「ケーキのようなキャンドル」。これが話題となり、雑誌の誌面で紹介されるように。すると「キャンドルだけじゃなくて、本物のケーキも作れる人」と認知度が上がり、フードコーディネーターやレシピ作りの依頼も次々と入ってくるようになったんです。自分のブランディングが思い通りにカチッとハマり、まさにこれが転機となりました。


思わず食べたくなる可愛くて美味しそうなキャンドルケーキ

今、私に求められているのは「映える&美味しい」メニュー。SNS全盛の昨今、写真映えする可愛くておしゃれなメニューづくりは重要。けれど、料理やお菓子には美味しさが絶対条件なんです。そこを忘れると、落胆や飽きにつながってしまいますから。また、最近はヘルシーさも大切な要素ですね。トレンドは常に意識して、ネットだけでなく都心や海外にも出向いて情報収集をしています。それをそのまま打ち出すのではなく、どこかに地元の素材や伝統料理、ソウルフードを取り入れるなど「金沢らしさ」も大事にしています。

今後の展開

2019年からは野々市市の「1の1 NONOICHI」のシェアキッチンに週1ペースで出店しています。隣接の公民館に来館する学生さんや主婦に喜んでいただけるよう、ランチやドリンクを考案して提供しているんです。「いずれは自分の店舗を持ちたい」という夢があるので、ここでの活動はテストマーケティングやファンづくりにとても役立っています。お客様の反応がダイレクトに感じられる場がローリスクで持てるのはありがたいですね。


シェアキッチンのメニューの一例。「美味しかった!」「この素材も使って」など要望に応えながら変化させている

近年は企業や雑誌のフードコーディネート、ケータリングなどの仕事で、カメラマン、フラワーコーディネーターなど多方面の方とのコラボレーションが増えてきました。1人でやっていた時とは違い、視野も考え方もどんどん変化してきましたね。店舗を開く方法にも様々なスタイルがあると知りました。これまでは家庭と仕事を両立させながら必死で走ってきましたが、今はあせって目標を追わず、変化を楽しみながら好機を待ちたいと考えています。

私にとっては料理もキャンドルも材料が違うだけで、根本は同じ「クッキング」。共通しているのは、生活を豊かにするツールであることです。これからAIが様々な領域に広がる中で、この仕事を通じて、AIにはできない「人の心に潤いを与えること」をしていきたい。私が作り出す料理やキャンドル、レシピなどでお客様がほっこりできたり、幸せな気持ちになっていただけるとうれしいですね。

起業する女性へのメッセージ

かつては私も「お金が貯まったら」「スキルを身に付けてから」となかなかな一歩を踏み出せずにいました。でも、やると決めたら絶対に今日から始めたほうがいい。時間は帰ってこないですから。確かに、フリーランスは自分で仕事を取っていかなければならないので不安です。怖かったら、他にパートをしながら週1、2回から始めてみてもいいのでは。家事や子育てをこなす主婦にはマルチな才能があるので、そうした自由度の高い働き方も合っていると思います。まずは身の丈から始めて、次の段階に進みたいと思えば、ISICOなどの相談機関を通じて融資やスキルアップの方法をアドバイスしてもらえます。私が始めた頃に比べて、今は女性起業家にとって恵まれた環境が整っていると思いますよ。

河除さんのある1日の過ごし方

6:00
起床、身じたく 子どもたちの朝食・弁当準備
8:00
洗たく、掃除
9:00
メールチェック、Instagram更新 企業との打合せ準備 1の1レシピ作成
13:00
取材・撮影
15:00
1の1買い出し
16:00
昼食 
17:00
企業にて打合せ
18:00
夕食準備
20:00
子どもの勉強を見る 入浴
21:00
就寝